キャッシュカードすり替えは、キャッシュカードをだまし取る新しい詐欺の手口です。
本物のキャッシュカードの入った封筒を、別の封筒とすり替えて盗み取るという手口で、「窃盗犯罪」に該当します。
キャッシュカードすり替えの被害は、2017年ごろから確認されていたようですが、頻発しだしたのは2018年ごろからです。
東京、埼玉、千葉、神奈川等の首都圏と大阪で多く発生しており、2018年の被害総額は18億9000万円にも上るということです。
キャッシュカードすり替え手口以前の犯罪
これまでの高齢者の財産を狙った犯罪としては、
- 還付金詐欺
- オレオレ詐欺
などに代表される「振り込め詐欺」が有名です。
還付金詐欺やオレオレ詐欺では、お金をだまし取る方法として【振り込み型】が広く行われていました。
振り込み型は、犯人が用意し、管理している銀行口座に、現金を振り込ませることで現金を手に入れようとするやり方です。
犯人は、高齢者を銀行やコンビニへ出向かせて、携帯電話で指示を出しながら、ATMを操作させてお金を振り込ませようとします。
しかし、振り込め詐欺のこのような形態は、広く世間に周知されたことから、銀行員やコンビニエンスストアの店員によって、高齢者に対する声がけが行われるようになりました。
高齢者への声がけが増えたことで、事件を未然に防ぐことができるようになり、振り込め詐欺の被害額も減少傾向となってきました。
犯人側が、振り込め詐欺では実績を出すのが難しくなったとみたためか、お金を騙し取る手口は、年々変化し多様化してきたようです。
そんななか登場したのが、キャッシュカードのすり替え詐欺です。
キャッシュカード自体を盗み取る手口はこれまでもありましたが、すり替えて盗み取るという新たな手口が横行するようになってきました。
キャッシュカードすり替えの詐欺手口
キャッシュカードすり替えは、犯人からの次のような電話ではじまります。
犯人は、警察官や銀行員、市役所の職員を装って、このような電話を掛けてきます。
「個人情報が盗まれた可能性があります」
「キャッシュカードの確認が必要になります」
このように説明したあと、「対応のため、全国銀行協会の職員を向かわせます」等と言って、実際に自宅へとやって来ます。
犯人が自宅にやって来るのは、電話を切った直後であることがほとんどです。
これは、電話を切ったあとで、
- 考える余裕を与えないようにするため
- 家族などに相談する時間を与えないようにするため
であると考えられています。
キャッシュカードをすり替えるやり方
全銀協になりすました犯人が自宅にやってくると、
「不正利用されたキャッシュカードを使えなくする必要があります。暗証番号と一緒にこの封筒に入れて下さい」
と指示されます。
指示通り、封筒の中に、キャッシュカードと暗証番号を書いたメモをいれると、封筒をのり付けした上、
「封印します。割り印しますので、印鑑を持ってきて下さい」
と再度指示されます。
そして、印鑑を取りに行っているすきに、封筒は別の封筒にすり替えられてしまいます。
「来週には新しいキャッシュカードがとどきます。それまで、開封せずに大事に保管して下さい」
犯人はそう言い残して去って行きます。
キャッシュカードすり替えの発覚が遅れる理由
キャッシュカードすり替えの詐欺は、被害に遭ったことに気付くのが遅れるという特徴があります。
なぜなら、被害者は、自分の大切なキャッシュカードは手元に残っていると思い込んでいるからです。
封印した封筒に入れて、自分で保管していると思っているので、キャッシュカードを盗られたとは気付かないのです。
「新しいキャッシュカードがなかなか届かない」
そう銀行に問い合わせをするまで、被害に気がつかないことが多いようです。
しかし、その間に、犯人は、キャッシュカードで現金を引き出してしまいます。
キャッシュカードのすり替え詐欺に遭わないためには、
どんな肩書きの人に対してであろうと、
- 他人にキャッシュカードを預けない
- 他人に暗証番号を伝えない
これら対応の基本を守ることが重要です。
警察官や銀行員、市役所の職員が、キャッシュカードを預かったり、暗証番号を確認したりすることはありません。
これまで何度も伝えられている基本の対応を再確認しておきましょう。