これは架空請求詐欺のハガキの見本です。
実際にこのようなハガキが自宅に届いたという方もおられるのではないでしょうか。
実は、架空請求ハガキに関する詐欺被害の相談は、2017年(平成29年)頃から増え始めているのです。
ハガキの内容
総合消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ
管理番号○○○○
この度、ご通知致しまたのは貴方の利用されていた契約会社ないし運営会社から契約不履行による民事訴訟として、訴状が提出されました事をご通知致します 。
裁判取り下げ最終期日を経て訴訟を開始させて頂きます。
尚、ご連絡なき場合原告側の主張が全面的に受理され執行官立会いの元、給料差押え及び動産、不動産物の差し押さえを強制的に履行させて頂きますので裁判所執行官による執行証書の交付を承諾していただくようお願い致します。
裁判取り下げなどのご相談に関しまては当局にて承っておりますので、職員までお問合せ下さい。
尚、書面での通達となりますのでプライバシー保護の為、必ずご本人様からご連絡頂きますようお願い申し上げます。
※ 取り下げ 最終 期日 平成30年3月○日
○○局○○センター 東京都○○区○○○
お問合せ窓口 03-○○-○○
受付時間 9:00 ~19:00
その内容は、訴状が提出されたことを知らせるものとなっており、最終期日までに連絡なき場合には、給料、動産、不動産を差し押さえると記載されています。
「訴状」「差し押さえ」「契約不履行」などの言葉が並んでおり、全く心当たりがない方でも、このようなハガキを受け取れば、少なからず不安な気持ちに陥ってしまうでしょう。
正しい判断ができなくなってしまうかも知れません。
架空請求詐欺ハガキの特徴
上記の見本のような架空請求ハガキには、訴状を提出したとされる法人名が一切記載されていないのが特徴の一つです。
「貴方の利用されていた契約会社ないし運営会社」とされているだけで、何という会社から訴状が提出されたのか、具体的な記載が全くありません。
いつ、何を利用した分の請求なのか等も記載されておらず、あいまいな表現に終始しているのも特徴と言えます。
また、ハガキのタイトルには「訴訟最終告知のお知らせ」という文言が入っており、「取り下げ最終期日」の記載もあることから、時間的な余裕がないことを暗に演出した内容となっています。
これは、ハガキの受領者を慌てさせて、正常な判断ができなくなってしまうことを狙った詐欺の手口です。
判断力の低下と不安感から、ハガキに記載された連絡先に電話をしてしまい、実際にお金を騙し取られるという詐欺被害に見舞われた事例も発生しているのです。
ハガキの差出人
架空請求詐欺のハガキの差出人としては、
- 法務省管轄支局 国民訴訟通達センター
- 法務省管轄支局 民事訴訟管理センター
- 法務省管轄支局 民間訴訟告知管理センター
- 法務省管轄支局 国民訴訟お客様管理センター
などと記載されているものがあるようですが、いずれも法務省とは一切関係がありません。
「法務省」と称していることから、公的機関からの裁判に関する通知だと勘違いする方も多いようですが、実際の通知方法は違います。
もしも、本当に裁判所に訴状が提出された場合には、裁判所から「特別送達」という方法で、訴状の副本等が届けられます。
見本のようなハガキで、訴訟が提起されたという通知が届くことはありません。
架空請求詐欺の事例
架空請求詐欺のハガキを受け取り、記載された通りに電話をしてしまうと、次のような手口でお金を詐取されてしまいます。
教えられた弁護士に電話をすると、弁護士の紹介費用と称してコンビニのプリペイドカードを購入するように指示され、券面の番号を伝えた。
架空請求詐欺では、このような被害が報告されています。
プリペイドカードの他には、アマゾンの「電子マネーを購入してID番号を教えろ」といった事例もあります。
また、この被害事例のように一度支払ってしまうと、今度は、「相手が裁判を取り下げない」「裁判取り下げ費用が必要だ」などと、様々な理由をつけては、何度もお金を要求されてしまうこともあるようです。
架空請求詐欺ハガキの対処法
見本のような架空請求ハガキが届いたら、一切無視して、絶対に連絡を取らないことが正しい対応です。
どうしても、不安な気持ちが拭えないという方は、ハガキに記載された問い合わせ窓口ではなく、自治体の消費生活センターや国民生活センターなどに相談して下さい。
実際にお金を騙し取られてしまった場合には、すぐに警察に相談しましょう。