クレジットカードのショッピング枠の現金化って?
クレジットカードには、
- 商品やサービスを後払いにする「ショッピング機能」
- お金を借りる「キャッシング機能」
の2つの機能があります。
これらの機能の内、本来、商品やサービスを後払いするためにある「ショッピング」の利用可能枠を、換金する目的で利用することを、『クレジットカードショッピング枠の現金化』と言っています。
ショッピング枠現金化の具体的な利用例
例えば、利用者がクレジットカードのショッピング機能を使い、換金率は80%、現金化業者から(ほとんど価値のない)品物を50万円で購入する場合の流れとしくみは、次のようになります。
- 利用者が現金化業者から、ほとんど価値のない品物を50万円で購入(させられる)
- 現金化業者に、クレジットカード会社から50万円の代金受領権が発生
- 現金化業者が、利用者に購入額の8割(40万円)をキャッシュバック
- 利用者の手元に40万円が入る
- 利用者には、クレジットカード会社に50万円の支払義務が残る
一時期、利用者の手元には40万円の現金が入り、お金の工面がついたように思えますが、結局は、クレジットカード会社に対して50万円の支払義務が発生しますので、差し引き10万円の損失となります。
これをキャッシングに置き換えて考えてみると、40万円を借り入れるのに10万円の利息を支払ったことになります。
クレジットカード会社への支払期限が1ヶ月後だと仮定した場合には、年利300%の利息で40万円を借り入れたことになってしまうのです。
一時的には、現金が手に入りますが、結局、債務が増えるだけです。
ショッピング枠現金化取引の利用者
『クレジットカードショッピング枠の現金化』を利用しようとする人は、キャッシングの利用枠を限度額まで使い切ってしまった人たちであると思われます。
多額の借金を抱えて、一般的な消費者金融からも借入れができなくなった多重債務者であることが想像できます。
「闇金」と「現金化取引」の両方とも利用してしまい、二重の被害を受けている方も少なくないでしょう。
ショッピング枠現金化取引の問題点
「クレジットカードショッピング枠の現金化」という行為は、通常のショッピング利用を装ってはいますが、実質的には、貸付行為と変わらないという意見もあります。
現金化業者たちは、貸金業の登録など受けていないでしょうから、貸金業法に違反しているとも言えます。
更には、上記の利用例によれば、現金化取引を貸付行為と捉えた場合の金利は300%で、法定利息をはるかに超えた闇金レベルですから、出資法の上限金利20%を超える貸付となり、刑事罰の対象にもなり得ます。
また、現金化取引は、クレジットカード会社が認めておらず、会員規約に違反する行為としていますから、その利用者は、被害者ではなく、加害者であるとの見解もあるようです。
現金化取引をしてしまった利用者は、会員規約違反行為を行ったとして、カードの利用停止や強制退会などのペナルティを受けることにもなります。
と日本クレジット協会は、警鐘を鳴らしています。
現金化取引の被害報告
現金化取引に関しては、次のような被害相談が報告されています。
お金を借りるためにネットで見つけた貸金業者から、クレジットカードで家電品を購入して現金化する方法を説明された。指示通りに家電品を購入して買取業者に送付したが、貸金業者と連絡が取れなくなり、騙されたと気付いた。
インターネットで借金の申し込みをしたら、「審査は通らなかったが別の方法がある」と言われ、家電製品を分割払いで購入して現金化する方法を案内された。
このように、現金化取引は、インターネットを利用した借金の申込みがきっかけになることがあります。
ソフト闇金のように、インターネットで手軽だからと融資の申込みをしたりすると、思わぬ被害やトラブルにあってしまいます。
ソフト闇金に注意!在籍確認なしは本当?安易に利用してはいけない理由
また、現金化業者に対しては、商品を購入する際に、クレジットカードの番号や住所、氏名、電話番号などの個人情報を伝えているわけですから、個人情報が悪用される可能性さえあることを考えると、ショッピング枠を現金化しようという勧誘には注意が必要です。